CGI  
 稔幸サン

真夜中に光り輝く満月。
夜中、光り輝く満月を見るとホッとする。
宝塚で、稔サンの舞台を見るとホッとする。
舞台でいつも輝いていたスター。
嵐が来ても、晴れにしてしまうスター。
暗い世界に光を注いでくれる、満月の様な。
それが、稔幸サン。

幼き頃、初めて写真で稔さんを見た時。
「この人かっこよくないね」
なんてこと言ってました。
舞台メイクが変だったのか分からないけど。

いつだったか、何かのビデオを見た時。
確か紫苑ゆうサンがトップだった頃のショーだったかなあ。
どのショーだったか覚えてないんだけど、
何か、やけに目がつくダンサーがいた。
あれは誰だろう。
顔を見た時、びっくりした。
あの時の写真の人だ。
やけに楽しそうに踊っている。
きっと、踊ることが好きなんだろう。
いい顔してた。気持ちよさそうに踊っていた。
んでもって格好良かった。

稔さんは特徴のある声をしていた。
男役にしては高い歌声。
数人で歌っていても、稔さんの声はすぐに分かるぐらいな。
いつカマすか、もしくはずっとカマしているのか。
一度聴くとクセになってしまう声。
気になる存在になってしまった。

そしてファンになる決定打になったのが、94年のTMP。
風共のパロディで、アシュレをしていた。
それがあろうことか、オカマ。
バトラーとお付き合いしているのだ。
くねくねくねくねしていて、変に色気があり。
これは衝撃的だった。
変なのだ。面白すぎるのだ。たまらんのだ。
もう惚れに惚れてしまった(なんか違う)

私の中で、稔さんは「イイオトコ役者」だった。
二枚目、三枚目、王子、悪役、デブ男、オカマ、女装、などなど。
何を演じてもイイオトコになってしまう。
そんな稔さんを、勝手ながら「イイオトコ」と呼ばせて頂いていた。
何を演じても、イイオトコ。
イイオトコ、稔幸。

そんなノルさんの退団作品は、なんでやねん「ベルサイユのばら」
初めて聞いた時は、もうどうしようかと。
退団公演で女役だなんて。
最後に「男役・稔幸」が見れないなんて。
私が大好きだった「イイオトコ・稔幸」が見れないなんて。
しかもトップコンビの退団作品なのに、
星奈優里ちゃんと結ばれない役だなんて。
フェルゼン編じゃあかんのか?
というか、ベルばらじゃないとあかんのか?
ひどいや!ひどすぎる!!

…とか言っていたけれども。
結局は「これでもか!」というぐらいに、
デコオスカルにどっぷりとハマってしまったのです。
稔さんはイイオトコだけでなく、イイオンナでもあったのです。
「フェルゼンのばかっ!」ってやけ酒する所とか、
ガラスの馬車に乗るアンドレへ駆け寄る姿とか。
もう笑ってしまいそうになるくらいに、可愛かった。
稔サンにイイオトコっぷりに惚れていた私なのに、
まさかイイオンナっぷりにも惚れてしまうなんて。
ピンクの口紅、長いまつげ。
いいのかこれで退団だなんて。
…まぁ、格好良い所もあったから。
しかもびっくりするぐらいに歌が上手くなってたから。
他のファンの方はどう思ったかは分からないけど。
良かったんだろう、きっと。
満月のような笑顔が見ることが出来たのだから。

イイオトコ、稔幸。
丸顔で、広いオデコ。
特徴ある声。
楽しそうに踊る姿。
耐える男。
猫背で魅せる哀愁。
帽子から覗くキザな目。
足音の鳴らないデュエットダンス。
余興、命。
そんな稔さんを見てるのが楽しかった。
ぴかぴか光る稔さんの笑顔が好きだった。

今でも満月を見ると、稔サンを思い出す。
いつまでもファンに光を与えてくれる、まんまるなお月様だからだろうか。